イーサリアム(ETH)は5月7日から14日にかけて43.6%上昇し、2600ドルに達した。ただし、これは2021年に記録した過去最高値4868ドルには遠く及ばない水準であり、一部アナリストは「現在の強気トレンドは始まりにすぎない」として、近い将来に5000ドル到達の可能性を指摘している。

しかし、2025年に新たな史上最高値を更新するための明確な材料は依然として不透明であり、特に競合通貨との激しい争いが続く中では不確実性が残る。

Xユーザーの アドリアーノ・フェリア氏 は、「ETHは機関投資家による分散投資の最良候補」と評価しており、複数の上場投資信託(ETF)を通じた「規制上の透明性とアクセス性の高さ」がその理由だと述べている。ただし、最近のデータでは機関需要の強さはあまり見られていない。

ビットコインETF以外で唯一の選択肢

5月12日から13日にかけて、米国上場のイーサリアムETFからは400万ドルの資金流出が確認された。現在のイーサリアムETF市場は、1215億ドル規模のビットコインETF市場と比べて92%小さく、機関投資家によるETH関連商品の需要が限定的であることを浮き彫りにしている。

イーサリアムに再び上昇の波 ETF期待とAI需要が5000ドルにまで押し上げるか image 0 ETH/USDT vs. competitors XRP, TRX, BNB, ADA. Source: TradingView / Cointelegraph

2025年に入ってからは、競合する他の仮想通貨がETHをアウトパフォームしているものの、XRP、SOL、ADAなどに対する米国政府の対応は冷ややかだ。トランプ大統領は3月2日、これらの仮想通貨を支持するロビイストとの距離を 明確にし 、3月6日の「 デジタル資産備蓄に関する大統領令 」では、ビットコインと他のアルトコインを明確に分ける姿勢を打ち出した。

このような状況の中で、ETHにとっての追い風となるのは、他の仮想通貨ETFの申請が米証券取引委員会(SEC)に却下されるという「競争不在」シナリオだ。さらに、インカインド方式によるETF創設とステーキングの承認が年内に実現する可能性について、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジェームズ・セイファート氏は「高い確度で期待できる」と述べている。

ペクトラアップグレードで拡張性が向上

イーサリアムの供給量を制御する施策として2021年に導入されたバーン(焼却)メカニズムは、当初、ネットワーク需要に応じて供給量を減少させると期待されたが、近年のロールアップ重視の方針転換により、デフレ効果は限定的となっている。ETHを再びデフレ資産とするには、オンチェーンアクティビティの大幅な増加が必要となる。

イーサリアムに再び上昇の波 ETF期待とAI需要が5000ドルにまで押し上げるか image 1 Ethereum rollups ranked by 30-day transactions. Source: L2Beat

直近の「ペクトラ」アップグレードでは、データ伝送効率が改善され、ネットワークのスケーラビリティが向上した。L2beatによると、レイヤー2ネットワークの取引活動は前月比で23%増加し、特にBaseネットワークは30日間で2億4420万件の取引を記録した。こうした成長が続けば、ETHの需要をさらに押し上げ、競合との差別化にもつながる。

AI技術との統合による可能性

また、AI技術との統合がETH価格を押し上げる可能性もある。イーサリアム支持者の エリック・コナー氏 は、ChatGPTがレイヤー2インフラ上でのマルチシグコントラクトを用いた資産管理を評価しているとし、AIエージェントによる支払いや資産配分、DeFiへの自動投資が現実化しつつあると述べている。

このようなスマートコントラクト活用の拡大が進めば、現在のレベルから10倍以上のアクティビティ増加も視野に入る。規制の進展とともに機関投資家の関心が高まれば、ETHが2025年に新たな史上最高値を更新するシナリオは、決して非現実的ではない。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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