主なポイント
- 予測市場は、植田総裁のタカ派的な発言を受け、12月18~19日の日本銀行会合で利上げが行われる確率を57%と見積もっている。
- 12月1日、暗号資産の清算額は6億4300万ドルに達し、Bitcoinは5.2%、Ethereumは5.4%下落した(アジア市場取引中)。
- 日本の10年国債利回りは1.86%に達し、2008年以来の高水準となり、世界のリスク資産を支えてきた円キャリートレードに脅威を与えている。
日本銀行は12月18~19日に金利決定会合を開催する。Polymarketによると、予測市場は利上げの確率を57%としている。
Bitcoin BTC $85 977 24時間ボラティリティ:5.9% 時価総額:1.71兆ドル 24時間取引高:687.1億ドル などの暗号資産は、さらなるボラティリティに直面する可能性がある。植田和男総裁は、12月1日に名古屋で行われた経済界リーダー向けの講演で、「12月18~19日の会合を前に、企業の賃上げ姿勢について積極的に情報収集している」と述べた。現在の政策金利は0.5%である。
市場は即座に反応した。CoinGlassによると、12月1日の暗号資産の清算(強制ポジション解消)は6億4300万ドルに達した。21万8,844人のトレーダーが影響を受けた。Bitcoinは5.2%下落し$86,062に、Ethereumは5.4%下落し$2,826となった。この売りは、日本の10年国債利回りが12月1日に1.86%へと急騰し、2008年4月以来の高水準となったことを受けて発生した。
過去10年間の日本国債利回りを示すグラフ 出典: jbts.co.jp
ロングポジション(価格上昇を見込んだ取引)が清算額の5億6700万ドルを占めた。ショート(価格下落を見込んだ取引)はわずか6900万ドルだった。Bitcoinは1億8600万ドルの強制清算、Ethereumは1億3800万ドルを占めた。この内訳から、多くのトレーダーが価格上昇を見込んでポジションを取っていたことが分かる。
過去24時間で6億3600万ドルの清算を示すヒートマップとデータ 出典: Coinglass
Bitcoinは11月下旬までに$82,000の安値から17%反発していたことが、以前Coinspeakerで報じられている。この上昇により、多くのトレーダーがレバレッジポジション(借入金を利用した取引)を取っていた。
円キャリートレードに圧力
日本の金利上昇は、何十年にもわたり世界のリスク資産を支えてきた円キャリートレードに脅威を与えている。投資家は、ほぼゼロ金利で円を借り、米国株や欧州債券、暗号資産など高利回り資産を購入してきた。日本の金利が上昇し円高が進めば、この取引は機能しなくなる。投資家はポジションを解消せざるを得なくなる。
暗号資産の清算額は、11月の以前のレバレッジ解消局面で13億3000万ドルを超えていた。12月1日の出来事は、このパターンが続いていることを示している。
Polymarketのスクリーンショット。25bpsの利上げを61%、据え置きを39%とするベットに基づく確率を示す2本の線のチャート 出典: Polymarket
Polymarketのオッズは、植田総裁の発言前は約50%だったが、発言後は57%に上昇した。市場は日本銀行が金利を据え置く確率を40%と見込んでいる。中央銀行はすでに1月に金利を0.25%から0.5%に倍増させている。12月の利上げは今年2度目となる。
USD/JPY為替レートは11月21日時点で156.58で取引されていた。160に近づくと、日本当局が通貨防衛のために介入することがある。利上げ後にさらに円高が進めば、キャリートレードの解消圧力が強まり、レバレッジをかけた暗号資産ポジションにも打撃となる。



