ハーバード大学がビットコインETF投資を急拡大し第3四半期で257%増加

ハーバード大学がビットコインETF保有額を大幅に増加させた

ハーバード大学 は、2025年第3四半期に BlackRock （ブラックロック）のビットコインETF（上場投資信託）である IBIT （iShares Bitcoin Trust）の保有額を4億4,280万ドルへと拡大した。

これは第2四半期から257%増の大幅な伸びで、保有株数は1,906,000株から6,813,612株へ 増加 している。

大学基金がビットコインETFを拡大した背景を整理する

今回の拡大は、伝統的に保守的な投資戦略を取ってきたハーバード大学基金としては異例の動きである。

大学基金は長年、価格変動の大きいビットコイン（Bitcoin/BTC）などの資産には慎重だったが、ETFを通じたエクスポージャーを大きく増やしたことで、デジタル資産への向き合い方に変化が生じていることがうかがえる。

背景には、機関投資家全体でビットコインETFの採用が広がっている市場環境がある。2024年初頭に導入されたビットコインETFは、規制監督のもとで運用される投資商品であり、年金、保険会社、政府系ファンドなどが、従来型の投資枠組みのままビットコイン市場にアクセスできる手段となっている。ハーバード大学の今回の保有拡大は、こうした広がるトレンドを反映したものとなっている。

ハーバード大学は、短期的な価格変動よりも長期的な投資手段としてビットコインETFを位置づけている。ビットコインは現在10万4,000ドル前後で取引されており、かつて「2028年までに10万ドルに到達するよりも100ドルまで下落する可能性が高い」との見方もあったが、現状はそれとは対照的な水準にある。

さらに、ハーバード大学は金の保有も強化している。GLD ETFは33万3,000株から66万1,391株へと99%増加し、評価額は2億3,500万ドル（約364.8億円）となった。ビットコインと金を同時に増やしている点は、代替資産への配分を強める動きとして位置づけられる。

ポートフォリオ構成と市場への波及効果を示す

提出書類によると、IBITはハーバード大学の報告ポートフォリオの20.97%を占め、同大学で最大の保有銘柄となっている。

構成比はMicrosoft（マイクロソフト）、Amazon（アマゾン）、Alphabet（アルファベット）、NVIDIA（エヌビディア）など、同大学が長年保有してきた主要銘柄を上回っている。ハーバード大学は世界最大級の大学基金を運用しており、その投資配分の変化は機関投資家セクター全体の流れを示す指標として注目される。今回のIBITへの積極的な資金配分により、同大学はIBITの主要機関投資家の一つとして位置づけられている。

投資判断が与えるシグナルを読み解く

仮想通貨ETFアナリストのエリック・バルチュナス（Eric Balchunas）氏は、この動きを「ETFが受けられる最も強力な承認」と評価している。

慎重な姿勢で知られる大学基金がビットコインETFへのエクスポージャーを大きく取ったことは、他の大学や機関投資家にとっても無視できないシグナルとなる。

ビットコインと金を併用する今回の戦略は、従来資産とデジタル資産を組み合わせたポートフォリオ構成が現実の運用に取り入れられつつあることを示している。ハーバード大学が行った大規模な再配分は、機関投資家がデジタル資産をどのように位置づけているかを読み解くうえで、象徴的な事例となっている。