中国の不動産開発会社Seazen Groupは、トークン化をニッチな実験から実用的な応用へと移行させる計画を立てています。トークン化された債券やNFTを通じて、同社はブロックチェーンソリューションを活用し、資本市場へのアプローチを目指しています。

財務的に安定しており、中国の不動産セクターでは例外的な存在であるSeazenは、実世界資産(RWA)のトークン化を活用して新たな資金調達チャネルを開拓しようとしています。同社は香港にSeazen Digital Assets Instituteを設立する計画です。プライベート債や転換社債、さらにショッピングセンター(Wuyue Plaza)を基盤としたNFTがトークン化できるかどうかを模索し、流動性の創出とコスト削減を目指しています。

Seazenは従来の信用市場ではなくブロックチェーンに賭ける

この取り組みにより、Seazenは新たな道を切り開いています。同グループは初めてトークン化された債券を発行する計画であり、これは中国ではまだ一般的ではありません。これらのデジタル証券は、債券を持ち運び可能で取引可能なトークンに変換することを目的としています。

これにより、少額からのアクセスが可能となり、最低購入額の要件もなくなるため、個人投資家にとって特に魅力的です。また、この取り組みは不動産プロジェクトに紐づいたNFTの発行も予定しており、Wuyue Plazaモールをブランド化したものとなります。

デジタル資産の新たな道―規制がゲートウェイに

このようにしてSeazenは、香港の新興デジタル金融分野で戦略的なポジションを確立しようとしています。政府との近さや、行政のブロックチェーンイノベーションへの開放性が、このプロジェクトに規制上の優位性をもたらしています。さらに、同社はすでに米ドル建て債券を通じて3億ドルを調達しており、資金調達の多様化に向けたもう一つのステップとなっています。トークン化されたRWAの実験が成功すれば、他の不動産開発会社にとっても、コモディティや不動産市場の両方でモデルケースとなる可能性があります。

これらの計画は有望に聞こえる一方で、課題も伴います。トークン化された債券は規制の発展段階にあり、投資家はセキュリティ、流動性、法的執行に関する疑問に直面しています。さらに、不動産とブロックチェーンの密接な統合は、機会とリスクの両方を孕んでいます。一方ではセクターへの信頼回復に寄与する可能性があるものの、失敗すれば投資家が永遠に離れるリスクもあります。それでもなお、Seazenは強いメッセージを発信しています。中国の不動産企業の資金調達の未来は、ますますデジタル化し、ブロックチェーンがその基盤となるかもしれません。